価値あるmiso
A氏はどうやってもこのふたりをなだめることができず、インターネット・プラットフォーム&シール部に助けを求めた。
「あのふたりを辞めさせるべきではありません」A氏は懇願した。
R氏はR氏とE氏を気に入っていた。
ふたりの意欲を買っていた。
ふたりが他人とはちがうということも評価していた。
どちらもテクノロジーの開発に熱心だが、I氏はより分析的で、E氏はより感情的だ。
ソフトウェアを評価するとき、R氏は、各機能がいかに効率よく働くかを基準にする。
E氏は、ユーザーがその特徴をどれだけ気に入って友だちに話してまわるかを基準にする。
「あのふたりはわたしの頭に刺激をあたえてくれた」R氏は語る。
それに、彼は自分に重ねてふたりを見ていた。
べつの会社で、R氏が最初の上司といっしょにプレゼンテーションをおこなったときのことだ。
相手の会社の現場の責任者が、R氏には愚かとしか思えない質問をし、R氏はそれを批判した。
会議のあと、上司はR氏を片隅へ引きずっていって、おまえはバズーカ砲以外の武器を手に入れる必要がある。
R氏は、A氏に仲裁役は引き受けたといって、ふたりのビースティ・ボーイズを自分のオフィスへ呼んだ。
それから、週にいちどの1時間の面談がはじまった。
この面談は半年以上も続き、R氏とE氏が社内でゆっくりと成熟していくきっかけになった。
まず目的を明確にして、そのために必要な手順を考えたほうがいいと勧めた。
ナイフでうまくいくときに大なたをふりまわす必要はない。
もうひとつ、R氏はこんなことを強調した。
どんなに巨大に見えても、M社は多くの面で小さな世界であり、「いつなんどき、嫌いな相手といっしょに働くはめになるかわからない」のだと。
R氏の授業は、ときには理解してもらえないこともあったが、ふたりはR氏から、敵を侮辱して叩きのめすかわりに、敵に向かってほほえみかけるすべを学んだ。
「R氏は世界がどんなふうに動いているかを教えてくれた」E氏は語る。
もっとも、R氏がどれだけ面談を続けても、E氏やR氏をT氏と仲良くさせることはできなかった。
時間というプリズムを通過するうちに、E氏は、ビースティ・ボーイズといっしょに働くのは容易ではないということに気づいた。
廊下で手のひらを打ち合わせるやつはいなかった。
笑顔を浮かべるやつもいなかった。
こんなふうにいうことも絶対になかった1996年が終わろうとするころ、ビースティ・ボーイズが荒馬ダイレクトXを走らせる時期も終わりに近づいていた。
ダイレクトXには長期にわたる保守スケジュールが設定された。
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